IPOはたったひと時の単なるイベントに過ぎない

IPOベンチャーへの転職の醍醐味は「ベンチャーに入って上場したらかっこ良さそうだな…」と考えるかも知れません。

確かにIPOをして上場を経験することはとても良いことなのですが、IPO自体はそのひと時だけの単なるイベントに過ぎません。

IPOしてもあなたの仕事が終わるわけではなく、その後は上場企業として財務状況を四半期毎に公開し、一般投資家や競合他社から厳しく見られながら、業績を上げていかなければなりません。

つまりIPOは目的やゴールではなく、通過地点に過ぎないのです。

それを踏まえた上で、IPOベンチャーに転職するメリットとデメリットをご説明したいと思います。

IPOベンチャーへ転職するメリット

  1. 挑戦への精神が根付く
  2. 人事評価のスタートラインが公平である
  3. 社内より社外環境に目が向く

第一のメリットとして、そのIPOベンチャーの一員となることにより、挑戦への精神が自分に根付くことがあげられます。

どんなに業績が良いベンチャーにおいても、必ず良い時期と悪い時期があります。

人事的な危機、財務的な危機、事業継続の危機、またはそれらが同時に来るような危機もあり、自分が経営者でなくても、小さな規模の組織ではその温度感がリアルタイムに伝わってきます。

そうした変化に直面してもチームで乗り越えた経験を繰り返すうちに、挑戦の精神があなたに必ず根付きます。

また、IPOベンチャー特有のスピード感と、そのスピードを達成する上で必要な多様性のある人材と接触できることも、あなたのキャリアにプラスになります。

第二のメリットとして、IPOベンチャーでは人事評価のスタートラインが公平であることがあげられます。

IPOベンチャーの採用はほぼ中途入社といってよく、年齢、性別、学歴、職歴は全く問われません。

銭社員の入社時期も数年内のズレしかないことが多く、新卒入社が中心の大企業と比較すれば、人事評価としてのスタートラインがほぼ同じと考えて良い状況です。

評価の重点項目を行動に置くIPOベンチャーもあれば、成果に置くIPOベンチャーもあります。

どんなIPOベンチャーでも人事評価で共通しているのは、過去の栄光といえる実績よりも、あなたのスタミナと真面目さがもたらす未来を評価する傾向は確実に強いと言えます。

第三のメリットとして、社内環境よりも社外環境に目を向ける機会が格段に増えることです。

大きな組織では、社外よりも社内競争や社内政治の調整が仕事という人も珍しくありません。

もちろん、その企業が業界内で圧倒的ナンバーワンで伸びている時はそれでも良いのですが、自社でしか通用しないスキルや経験を身につけても、社内はともかくあなたの社外での市場価値は上がりません。

IPOベンチャーの組織規模は小さく、数十人から多くても数百人、場合によっては数人のチームという場合もあります。

そうすると、必然的に社外のパートナー企業や人脈に自分も目を向けるようになります。

また、IPOベンチャーではたった一つの商品サービスや顧客層に依存している場合も多く、成長期の市場は競合環境も激しいため、経営者でなくても積極的に社外に出て情報を掴みに行くことが、IPOベンチャーでの生き残りのために大切な仕事の一つとなります。

IPOベンチャーへ転職するデメリット

IPOベンチャーへの転職は、当然ながらメリットだけはありません。

どんな行動においてもリスクは必ず存在し、そのリスクはコントロールできるもなのか、またそのリスクが発生しても許容できるのかどうかを事前に認識しておくことがキャリア開発においても非常に大事です。

ここでは、IPOベンチャーに転職する際の代表的なデメリットについてご説明します。

  1. 経営者のトップダウンと現場介入が強い
  2. 雇用条件の悪化
  3. 運にも左右される

第一に、IPOベンチャーの経営者のトップダウン力と現場介入はとんでもなく強いと考えておきましょう。

伝統的な日本企業は現場への権限移譲が進んでおり、稟議決裁が通っている限り一定の範囲で現場の自由裁量があります。

しかしIPOベンチャーでは経営者自ら、現場に出て最前線の知識を高速で学習し、全組織の施策として即日反映させる必要があります。

そのため、朝礼暮改は日常のこととなっている企業が少なくありません。

また、戦略が固まっているというよりは、走りながら考え常に軌道修正の指示があると考え良いでしょう。

第二に、転職前よりも雇用条件が悪くなることを想定しておきましょう。

入社時の年収の提示が高くても、それが未来永劫続くかはそれを提示している経営者にもわからないことです。

また人事考課サイクルの早い企業の場合は、昇給も機会も多いですが、同時に減給となる機会も多いことに注意してください。

IPOベンチャーでは一部を除いて、時宇別な福利厚生等はないと思っておいた方が良いでしょう。

IPOべンチャーは標準的な健保組合に加入している場合が多く、これまで大企業や業界に特化した健保組合であった場合は、家族に対する福利厚生の違いも出てくるかも知れません。

第三に、仕方ないことですが、IPOできるかどうか、IPOした後も成長できるかどうかは、最終的には運に左右されるケースもあるということです。

IPOベンチャーはIPOを通過として成長する企業なので、IPOできるかどうかは極めて重要なイベントです。

しかし、過去において2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災、2020年の新型コロナウィルスの影響を受けて、IPOは延期となった企業も存在します。

これらの影響を受けた企業は何も悪くないのですが、IPOは投資家から資金調達をするイベントである以上、必ずマクロな経済状況の影響を受けます。

その他にも、法律改正、大企業による採算度外視の市場参入、引受証券や取引所の審査方針変更といった外部環境の変化によって、IPOが延期されるケースも多くあります。

ここまでIPOベンチャー転職のメリット、デメリットを説明しましたが、外部環境の悪化により万が一成果が出なくても、自分の努力はキャリア経験を決して裏切りません。

むしろ、IPOベンチャー転職をキャリアとするのであれば、表面的な実績よりも職業観や行動の本質的な中身を問われると考えておきましょう。

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